今回のインドの旅は半分はインド古典声楽の勉強、半分はヴェーダ詠唱と般若心経読経の両方をレコーディングするため。また関連する場所の写真撮影が目的でした。CDを年内には両方を出版したいと考えています。
(1)ボパールで声楽トレーニング。
周囲は見渡す限りの平地の中にぽつんと学校校舎。10数人がここでは学んでいる。大半は過去に音楽の勉強をしてきた人たちです。中にはヨガや瞑想の経験を積んだ人がサーダナ(霊性修養)として学んでいる人もいました。先生は週末は数ヶ月先までコンサート活動が、海外も含めびっしり先まで入っていて超多忙。日本にも数年前に来られたことがある。コンサート以外の日は私たち生徒へ個別に指導を行う。1ヶ月の滞在中最初の1週間は練習しすぎで喉を痛めてしまった。音楽の勉強をしたことのない私にとってほぼ毎日の先生から個別指導は貴重な経験だった。
●新校舎
最近完成したこの建物はこの地域では目だって大きいもので、今頃はこの施設に皆移動して学んでいることだろう。
●日の出
鳥の声と共に毎朝の発声練習の声が各部屋から聞こえてくる。
●グンデーチャ先生のコンサートを何回か見学しました。
瞑想的なドゥルパドの歌を聞くと心の深くから静寂のエネルギーが引き出され、拡大していくのを体験できる。
●生徒の一人、サージーヴ氏とともに
妻子の下を離れここで約2年ここで練習に励む。後1年間で終える予定。
●最終日は先生の家までバイクで生徒の一人が送ってくれた。オーストラリアからスィタールの勉強に来ている男性とサンジーブ氏、朝夕はこの時期北インドは寒いのでショールを身にまとっている。
(2)サーンチにある世界遺産のストゥーパ
ブッダの遺骨とシャーリプトラの髪の毛が保管されており年末に年一回だけ見ることができる。特に般若心経に登場するシャーリプトラの遺髪があるというので興味をもった。仏教を保護したカニシカ王によって作られたそうだ。残念ながら仏舎利も遺髪も見ることができなかったが、古代、ブッダの教えがインド中に広がっていた時代をイメージすることができた。(嬉しいことに、後日インド滞在最後の日、デリーの国立博物館に展示されておた仏舎利を見ることができた)。
日本が経済援助をしとてもきれいに整備されている。シュリランカから200人ほどの巡礼者のグループがちょうどきていた。岡上にある広大な敷地の中の2000年前の石の遺跡にかこまれてとても清浄で平和な場所だった。時を忘れて何時間でもいれそうだった。日本の神社の鳥居ににたトーラが印象的。鳥居の原型ともされる。
(3)リシケーシ〜ガンゴートリー〜ゴームクへ
ガンガーの清流を録音することができました。
●リシケーシでサーマヴェーダのコンサートを行いました。現地の日本語が話せるチャルルさんがアレンジしてくれました。
●ガンジスの聖地ガンゴートリー
海抜3000メートルのこの地のアシュラムに宿泊
●ガンジスの源流、ゴームクに向かって
リシケーシから10時間ほど車で移動して、いよいよガンジスの源流ゴームク
に向かって出発。しかし酸欠と食あたりで、途中でギブアップ。素晴らしい眺望に天国を見、体調不良での登山で地獄を体験。天国と地獄が共存。もう少しのところだった。次回また挑戦!!
●ガンジスの清流で心身浄化
ヴァラナスィ当たりで見る汚れたガンガーもハリドワールやリシケーシュまで来るときれいだが、ゴームクに向かうこの登山道当たりではとてもきれいだ。見ているだけで心身ともに清らかになる。
●シヴァリンガ山の輝き
遠くに見えるこの山の輝きは太古から人々を魅了してきたのだろう。
(4)ヴァラナスィ(ベナレス)
ここでは3日間にわたりヴェーダの専門家の詠唱を録音した。最終日は偶然一緒になった日本人グループ8人と共にヤジニャといわれるヴェーダ儀式を体験。この地で当方のジョーティシュとヤジニャを行ってくれているミシュラ先生がアレンジしてくれた。ルドラビシェーカといわれるカルマの浄化儀式は荘厳なヴェーダマントラの詠唱と共にシヴァリンガの浄化の所作が実際にあらゆるものを清めてくれることを実感した。
●アッスィーガートのガンガー風景
ヴァラナスィの南端のガート。このあたりは静かで落ち着くところ。中心部の雑踏比べると。録音はスタジオを使用しないため、静かな場所を求めてたどり着いたのがガンガーの中ほどにボートを浮かべてそこで行うことだった。
●ガンガーでボートを浮かべて詠唱を録音
3日間毎日午前午後とボートを浮かべて、ヴェーダの詠唱を録音。意外なミシュラ先生のボート録音という発想には驚いた。しかし静かな場所を探すのが難しいこの地においては、好都合な場所だと分かった。完全ア静寂はないが、かすかに聞こえる人の声は川の流れの音と共によいバックグラウンドミュージックになった。
●パンディットの面々
リグヴェーダ、ヤジュルヴェーダ、アタルヴァヴェーダと日替わりで詠唱を聞くことができた。至福の時間。なんと贅沢なことだろう。
(5)ブッダガヤでは般若心経録音で超多忙
●ブッダガヤはインドではボードガヤ(Bodhgaya)といわれていますが、お釈迦様が悟りを開いたとされる地である。釈尊は菩提樹の下で瞑想されたそうですが、その聖木とされる大きな木があり、のそばには巨大なストゥーパが建立されている。高さは25メートルほどあろうかと思われる。ストゥーパという言葉が卒塔婆(そとば)という言葉になり日本ではお墓などでそれらを目にする。
ここには各国の仏教寺院がある。韓国、中国、台湾、日本、チベット、ブータン、ネパール、タイ、ヴェトナム、ミャンマー、バングラデシュなど。特に大乗仏教のお寺を回り般若心経を録音させていただきました。貴重な経験ができた。
●ストゥーパの中の黄金の仏像
ヴェトナムの僧侶がパーリ語で毎朝5時から1時間ほどパーリ語でプージャーと読経をしている。とても瞑想的な雰囲気である。早朝にも関わらず多くの人が参拝していた。この時期はシーズンで各国からの巡礼者でにぎわう。7年前に来たときと比べこの地の大きな変化に驚いた。本当に田舎の雰囲気だったのが今ではたくさんのホテルやゲストハウス。チベットや各国の修業僧の数も増えていた。サフラン色の袈裟を着た若いお坊さんが町を行きしている様子は、インドというよりチベットに来たようだ。
●ブータンの寺院の僧侶が温かく迎えてくれました。若い修行僧が100人以上僧侶としての訓練を受けています。代表者のお坊さんが5人の若い僧侶を集めてくれて般若心経を録音できた。同じ仏典であるにもかかわらず国ごとに異なる言語による読経の響きは興味深いものがある。
(6)ラージギル
ブッダガヤから車で5時間ほど、ビハール州にあるこの地は、原始仏典ではラージャグラハ(王舎城)があった地。ブッダの時代のマガタ国の首都だった。しかし今はその繁栄の面影はなく自然豊かな静かな場所である。この写真に写っているのは、ブッダが法華経などを説いた霊鷲山(グリドラクータ)。またここは般若心経の舞台としてもも登場する。ブッダ尊が瞑想するなかアヴァローキテーシュヴァラ(観自在菩薩)が仏弟子のシャーリープトラ(舎利子)に般若心経を説き、その周りでは多くの弟子たちがそれを聞いているという設定である。私も山頂に設けられた祭壇に座りサンスクリット語で般若心経を捧げてきた。
(7)ジャイプールに恩師に会いに
ピンクシティとも呼ばれるこの観光地。プールとは城壁で囲まれた町を指すそうです。建造物に使われる石の色で町中がピンク色に見えるところからそういわれるそうです。
●ジャイプール郊外のサンスクリット大学の広大な敷地。
ここでアタルヴァヴェーダが専門のヴァラナスィ時代の恩師ナーラーヤナ・ホスマネー師が助教授として教鞭をとる。ここはキャンパスの中で生徒や教授たちの宿舎もある。ほどのこの地はジャプールから車で40分ほどの田舎にあり、州政府がヴェーダやサンスクリット語を後世に伝えるために5年前に開校した大学である。
●先生夫妻と近所の子供たち。
ヴァラナスィで7年前4ヵ月に渡りリグヴェーダやプージャーを指導してくれた師と感激の再会。2年前にはヴァラナスィにいたのが転居され、ミシュラ氏に探してもらいインド滞在中に連絡先が分かり再会することができた。2人目の2歳になる息子がいてにぎやかだった。
●生徒たちにあっという間に取り囲まれてしまった。人なつこい若者たちだった。私もすっかりインド人のように(笑)彼らと溶け込んでいる。
●この大学はラジャスターン州立大学で、はサンスクリット語や各種ヴェーダを教えている。ふと立ち寄った校舎は教育学部で、部長が親切に校舎内を案内してくれた。
▲インドの旅を振返って