ヒマラヤの少女
- 2009.01.28 Wednesday
- 13:07
見渡す限りの高原
何時間も、何時間も車に揺られてやってきた
吸い込まれるような澄み切った大空
見渡す限りの高原
天空と大地が一つの線で交わっている
世界がすべてその中にある
冷たく乾燥した空気
頭が痛くなるほどの酸素が薄いところ
緑はほとんどないこの高地
この場所に人が生活しているのは
にわかには信じがたい
数え切れないほどの年月を経た自然の妙
多くの人たちが寄り添うように
この場所厳しい場所で
自然と常に対峙しながら暮してきた
近代文明とは別のところで
最小限の所有物とともにひっそりと
しかしたくましく生きてきた
どのに行くのであろうか
家族づれが果てしなく続く大きな道路の道端に腰かけていた
質素ないでたちで寄り添うように
その家族の中のひとりの少女が
はにかみながらもにこにこしながらやってきた
手にビニール袋を持っていた
にこにこして手渡してくれた
中には白い塊がいっぱい
ヤクのミルクから作った固い塊
はじめての味わい
忘れられないおいしさ
何よりもその優しい気持ち
お返しに途中で買った林檎をまとめて渡した
遠慮しながらも受け取った
家族のところに戻り何やらにこにこしていた
こちらに向かって手を振りながら
大いなる力によって支配されるこの大地
誰のものでもないのに境界線を引く大人たち
果てしない向こう側から
果てしない反対側へとその道は
自然を裂くように太い線を引く
地元のひとたちとは関係なく走る
遠くからやってきた人たちが
仲間を多く引き連れやってきて
お前たちを助けてやるという
お前たちを奴隷として扱ってきたやつから解放してやるという
みんなが平和に暮らしていたのに
いつの間にか彼らは自分たちが支配者となった
自分たちの考え方を徹底的に教育しようとした
古い考えから抜けられないものは容赦しなかった
人々は自由を奪われた
奪う一方、縛る一方である
取って取ってとりつくすこと
支配し支配し支配しつくすことを
人の家にやってきてその家の主になったようなものである
あらゆる自然の宝を持ち出し始めた
自然はだれのものでもない
所有されるものではない
昔からあってその中で人は暮らしてきた
過酷な状況の中でもこの地の人々は
なおやさしい心を失わず生きている
ここに住むあまり多くを持たない優しい人たちは
自分たちの大切なおやつさえも
この見知らぬ私にくれた
しかしやってきた権力者は莫大な富を得ているのにもかかわらず
さらに何も持たない人たちから
すべてを奪い去る
こころの自由さえも
はたまた平気で命さえも奪う
むごたらしい仕方で
この思考回路
私には理解できない
持てば持つほどに持ちないと思うようになるのか
限りなく世界を持つまでは終わりがない
この世界を持ったら月までも、
太陽までも持ちたいと思うのだろうか
ひとしきり休んだ後
何時間も間時間もまた車に揺られて
旅は続いていった
やがてかつての平和な暮らしが戻ってくるように
この地に平和と自由が訪れるように祈りながら
何時間も、何時間も車に揺られてやってきた
吸い込まれるような澄み切った大空
見渡す限りの高原
天空と大地が一つの線で交わっている
世界がすべてその中にある
冷たく乾燥した空気
頭が痛くなるほどの酸素が薄いところ
緑はほとんどないこの高地
この場所に人が生活しているのは
にわかには信じがたい
数え切れないほどの年月を経た自然の妙
多くの人たちが寄り添うように
この場所厳しい場所で
自然と常に対峙しながら暮してきた
近代文明とは別のところで
最小限の所有物とともにひっそりと
しかしたくましく生きてきた
どのに行くのであろうか
家族づれが果てしなく続く大きな道路の道端に腰かけていた
質素ないでたちで寄り添うように
その家族の中のひとりの少女が
はにかみながらもにこにこしながらやってきた
手にビニール袋を持っていた
にこにこして手渡してくれた
中には白い塊がいっぱい
ヤクのミルクから作った固い塊
はじめての味わい
忘れられないおいしさ
何よりもその優しい気持ち
お返しに途中で買った林檎をまとめて渡した
遠慮しながらも受け取った
家族のところに戻り何やらにこにこしていた
こちらに向かって手を振りながら
大いなる力によって支配されるこの大地
誰のものでもないのに境界線を引く大人たち
果てしない向こう側から
果てしない反対側へとその道は
自然を裂くように太い線を引く
地元のひとたちとは関係なく走る
遠くからやってきた人たちが
仲間を多く引き連れやってきて
お前たちを助けてやるという
お前たちを奴隷として扱ってきたやつから解放してやるという
みんなが平和に暮らしていたのに
いつの間にか彼らは自分たちが支配者となった
自分たちの考え方を徹底的に教育しようとした
古い考えから抜けられないものは容赦しなかった
人々は自由を奪われた
奪う一方、縛る一方である
取って取ってとりつくすこと
支配し支配し支配しつくすことを
人の家にやってきてその家の主になったようなものである
あらゆる自然の宝を持ち出し始めた
自然はだれのものでもない
所有されるものではない
昔からあってその中で人は暮らしてきた
過酷な状況の中でもこの地の人々は
なおやさしい心を失わず生きている
ここに住むあまり多くを持たない優しい人たちは
自分たちの大切なおやつさえも
この見知らぬ私にくれた
しかしやってきた権力者は莫大な富を得ているのにもかかわらず
さらに何も持たない人たちから
すべてを奪い去る
こころの自由さえも
はたまた平気で命さえも奪う
むごたらしい仕方で
この思考回路
私には理解できない
持てば持つほどに持ちないと思うようになるのか
限りなく世界を持つまでは終わりがない
この世界を持ったら月までも、
太陽までも持ちたいと思うのだろうか
ひとしきり休んだ後
何時間も間時間もまた車に揺られて
旅は続いていった
やがてかつての平和な暮らしが戻ってくるように
この地に平和と自由が訪れるように祈りながら