ヨーガ・アーサナのルーツと種類と意味と目的

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    ヨーガの実践で欠かせないもののひとつにアーサナ(aasana)と呼ばれるものがあります。

    現在では、アーサナは「ヨガ」と呼ばれていますが、古代においては瞑想のための「座法」を意味していました。

     

    アーサナには次のような意味があります。

     

    1. 馨甲(きこう) (馬などの肩甲骨間の隆起)
    2. 休止
    3. 座
    4. 着席
    5. 姿勢
    6. 習慣に従った信者の特別な座る姿勢
    7. 持続すること
    8. 運転手が座る部分
    9. ツール
    10.場所
    11. 停止
     

    このなかでヨーガの実践でのアーサナの意味は、「座、姿勢(ポーズ)」です。

     

    アーサナ(aasana)のサンスクリット動詞語根は、アース(aas)で、「座る」とか「(ある状態に)留まる」という意味があります。ですから、ある姿勢で座っている、その姿勢がアーサナです。

     

     

    インダス文明のモヘンジョダロ―遺跡で発掘された有名なパシュパティ・シール(シヴァまたは神格を描いた石でできた印章)には、バドラーサナ(バドラ・アーサナ=吉祥座)で座すシヴァが描かれています。このバドラ(吉祥)のアーサナ(ポーズ)がアーサナとしては一番古くにビジュアル化されたものです。

     

    アーサナのルーツを調べてみると、聖典「アタルヴァヴェーダ」(BC1500頃)に初めて文字として記述されています。
    その後、パタンジャリのヨーガスートラ(BC600〜AD400年頃)に3つの短いスートラにアーサナの定義と目的が説かれています。

     

    アタルヴァヴェーダやヨーガスートラには特定のアーサナの名前や方法は説かれていません。パタンジャリは「安定して、快適であることがアーサナである」と定義しています。長時間の瞑想のために座る姿勢は、安定したものであり、同時に快適である必要があると言うことです。

     

    BC400年〜AD900年の間のプラーナ文献、ウパニシャド文献、ハタ・ヨーガ文献には特定のアーサナの名前が登場します。アーサナには大きく分けて2種類あります。ひとつは瞑想のためのアーサナ、もうひとつは体を鍛錬するためのアーサナです。

     

    瞑想のための安定して快適なポーズの代表として、古代から、バドラーサナ(吉祥座)、パドマーサナ(蓮華座)、スィッダーサナ(達人座)、ヴァジラーサナ(金剛座)、スヴァスティカーサナ(吉兆座)、スィムハーサナ(獅子座)などが数多くの文献で説かれています。

     

    ゴーラクシャがハタ・ヨーガを体系化するどのぐらい前に、どの程度のアーサナがあるかを見てみると、少なくとも、17の文献に合計67種類のアーサナが説かれています。なかにはどのような姿勢なのかが不明瞭で名前だけが分かるものもあります。


    BC400年〜AD900年ぐらい、つまりゴーラクシャがハタ・ヨーガを体系化した時代より、1400年以上前の時代から既にアーサナには数多くの種類があったことが分かります。

    これらの中には、ゴーラクシャ以降のハタ・ヨーガの、ゲーランダやハタ・ヨーガ・プラディーピカー、ハタ・ラトナヴァリで説かれるアーサナも含まれています。

     

    ハタ・ヨーガの始祖ゴーラクシャは、 マヘーシヴァラ(シヴァ神)がアーサナを説いたと言っています。840万種あり84種類にまとめたとしています。また、すべてのアーサナのうち、二つは特に優れている。ひとつはスィッダ−サナ(達人座)、もうひとつはカマラーサナ(パドマーサナ=蓮華座)といいます。

     

    ちなみに、ゴーラクシャはハタ・ヨーガの開祖とされ、11世紀の初めにインド北西部を中心に活躍した人です。この引用が後の時代にハタヨーガプラディーピカーなど数々の経典で引用されています。

     

    ハタ・ヨーガ・プラディーピカー(16世紀)では、ゴーラクシャの流れを組むスヴァートマラーマの教えがまとめられていますが、84種の中から15の方法と効果が説かれています。

     

    ゲーランダ・サムヒター(17世紀)では、84のうち人間社会においては32のアーサナが素晴らしいと言っています。ゲーランダ・サムヒターは、弟子チャンダ・カーパーリーがゴーラクシャの流れ組む師のゲーランダ(17世紀後半)にハタ・ヨーガの教えを乞うたものをまとめたものです。ヴァスィシタ(紀元前1000年以上前のヴェーダの聖者)などの聖者たちと、マツェーンドラ(10世紀初頭/ゴーラクシャの師)などの行者たちによって採用された84のアーサナなのなかで、スィッダーサナ(達人座)だけはいつも行ずるべきであると説いています。

     

    シリーニヴァーサ(AD1625-1695)が書いたハタ・ヨーガとタントラの論文ハタラトナヴァリーには、84種類のアーサナの方法が書かれています。

     

    これらを総合的にみると、

    1.瞑想などのための特定の座り方(アーサナ)はインダス文明の時代から既にあった。

    2.瞑想のための姿勢がアーサナである。

    3.アーサナには瞑想用の座法と肉体鍛錬のための方法の二種類があること。

    4.シヴァ神が840万種のアーサナを知っていて、84種をヨーギーに伝えたこと(つまり人が考えたのではなく天啓であるということ)

    5.ヴェーダの有名な聖人ヴァシスタ(紀元前1000年以上前)の時代からアーサナがあり、ハタ・ヨーガの開祖ゴーラクシャはそれをハタ・ヨーガの体系に取り入れたこと。

    6.その後、ゴーラクシャの創始したナータ派の伝統の弟子たちに伝えられ、スヴァートマラーマ、ゲーランダなどは84種の中からいくつかのアーサナを伝え、シリーニヴァーサは84種を著作として著した。

     

     

    現在のヨガつまりアーサナは、ハタ・ヨーガの伝統から来ていますが、ハタ・ヨーガはタントラ(ヒンズーイムズのひとつ)、タントラはアタルヴァヴェーダから来ているのだと思われます。アタルヴァヴェーダはインダス文明の時代の流れをくむものでしょう。アタルヴァヴェーダはインド土着の民間信仰と渡来系のアーリャの知識の融合したものです。

     

    ただ近代ヨガはハタ・ヨーガのアーサナとは質を異にしています。様々な人たちによりさまざまな要素が加えられた、数多くのアーサナが存在しています。

     

    そして、大切な瞑想や呼吸法の部分が置き去りにされています。本来は瞑想や呼吸法のための姿勢であったアーサナが目的化してしまっています。それはそれで価値がありますが、アーサナはほかのハタ・ヨーガの実践と合わせて、さらに瞑想のためのコンディション作りと考えていくことが必要に思われます。

     

    ハタ・ヨーガとラージャ・ヨーガを総合的に実践することでより効果的なヨーガが行えます。ひいては心身の健康、能力開発、自己実現へとつながります。

     

     


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