ナウリ・クリヤー(ハタ・ヨーガの浄化法=シャド・クリヤー)

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    バンダ

     

     

    最近、ナウリについてよく耳にしますが、ナウリはハタ・ヨーガの実践のなかの浄化法の部類に入る実践です。

     

    ハタ・ヨーガにはシャド・クリヤーまたはシャド・カルマと呼ばれる浄化法のシステムがあります。シャドとは「6」、「クリヤー、またはカルマ」は行為を意味します。ここでの行為は浄化のための行為を指します。したがって、シャド・クリヤーは「六種の浄化法」です。

     

    6種の浄化法とは、以下のとおりです。

     

    1. ダウティ(dhauti)・・・体内の浄化
    2. ネーティー(neti)・・・副鼻腔の浄化
    3. ヴァスティ(vasti)・・・腸内の浄化
    4. ラウリキーまたはナウリ(lauliki/nauli)・・・腹部の運動による浄化
    5. トラータカ(trataka)・・・眼の浄化
    6. カパー・ラバーティ(kapala-bhati)・・・頭部などの浄化

     

    ハタ・ヨーガでは、深い瞑想の境地であるサマーディを得て、最終的には悟りを得るために、様々な実践がありますが、このシャト・クリヤーはその土台となる肉体の浄化を行います。

     

    分かるようにナウリはそのなかのひとつです。腹部の腹直筋を分離隆起させ、それを左右に動かし、腹部をマッサージします。消化器系を刺激し、消化力を高めます。それは未消化物の蓄積を防ぎ、結果的に肉体の浄化につながります。

     

    ハタ・ヨーガには、チャトゥラーンガ(四支足)やサプターンガ(七支足)という実践の分野があります。

     

    チャトゥラーンガ(四支足)は『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』と呼ばれるハタ・ヨーガの古典マニュアル本がありますが、そこに説かれています。四部門とは以下のとおりです。

     

    1. アーサナ(sana)
    2. プラーナーヤーマ(pranayama)
    3. ムドラー(mudra)
    4. ラージャ・ヨーガまたはナーダーヌサンダーナ(raja-yoga/nadansandana)

     

    2番目のプラーナーヤーマ(呼吸法)の実践の章にシャド・クリヤーが説かれています。呼吸法を行うにも気道が浄化されていなくては、実践ができません。また気道や体内が汚れていては、アーサナや瞑想にとっても障害となります。そこでこれらの浄化法が必要となります。

     

    サプターンガ(七支足)は『ゲーランダ・サムヒター』と呼ばれるハタ・ヨーガの古典テキストです。そこには次の七部門が説かれています。

     

    1. シャド・クリヤー(shadkriya)
    2. アーサナ(asana)
    3. ムドラー(mudra)
    4. プラテャーハーラ(pratyahara)
    5. プラーナーヤーマ(pranayama)
    6. デャーナ(dhyana)
    7. サマーディ(samadhi)

     

     

    この教えでは、まずシャド・クリヤーから始まります。すべてのハタ・ヨーガの実践の基盤としてこの浄化法の実践があります。

     

    さて、ナウリはここから分かるように大事な実践ですが、ゴールのためのひとつの手段です。ナウリは、実践をマスターするのに時間がかかるため、それができる人は注目されますが、それは曲芸ではなく、浄化法です。完成形ができなくても、日々地道に根気強く実践すること自体が、内臓や生理全体に有益です。

     

    ナウリの基盤には、バンダ(締め付け/ロック)やクムバカ(保息法)があります。いきなりナウリはできませんから、バンダやクムバカの実践が欠かせません。

     

    バンダは三種類とその組み合わせで5種類ありますが、ナウリのためには、ジャラーンダラ・バンダ(jalandhara-bandha)、ウッディーヤナ・バンダ(uddiyana-bandha)、ムーラ・バンダ(mula-bandha)をマスターする必要があります。前者は顎を鎖骨腔喉に向け喉を締め付けるもので、後者は腹部を締め付ける方法です。腹部をへこませ、内臓を上に持ち上げるものです。これらがしっかりできるとナウリができる準備ができます。

     

    ウッデーヤナ・バンダができるとナウリの基盤ができますから、そこからナウリを実践します。毎日の練習量やその人のコンディションにもよりますが、毎日欠かさずに行い、半年から1年はかかります。完成形に至るには努力と達成する熱意が必要ですね。

     

    ナウリ(nauli)のナウ(nau)は「船、ボート」、リ(li)は「、接着する、くっついて離れない」という意味です。波に揺られているボートのように、腹直筋が波打つ腹部の上でうねっているイメージです。

     

    ナウリには四種類あります。

     

    1. マデャマ・ナウリ(madhyana-nauli)・・・ 腹直筋の両側を中央に分離収縮させる
    2. ヴァ―マ・ナウリ(vama-nauli )・・・中央に隆起した腹直筋の左側の腹直筋を収縮させ左側に寄せる
    3. ダクシナ・ナウリ(daksina-nauli )・・・中央に隆起した腹直筋の左側の腹直筋を収縮させ左側に寄せる
    4. ナウリ・クリヤー(nauli-kriya )・・・上記三つを連続的に行う

     

    ナウリ・クリヤーの効果は、以下のように説かれています。

     

    ハタ・ヨーガ・プラディーピカー(2-34)

     

    मन्दाग्नि-सन्दीपन-पाछनादि-सन्धापिकानन्द-करी सदैव |

    अशेष्ह-दोष्ह-मय-शोष्हणी छ हठ-करिया मौलिरियं छ नौलिः || ३४ ||

    mandāghni-sandīpana-pāchanādi-sandhāpikānanda-karī sadaiva |
    aśeṣha-doṣha-maya-śoṣhaṇī cha haṭha-kriyā mauliriyaṃ cha nauliḥ || 34 ||

     

    「弱い火を刺激し消化力を高め、常に喜びを生み出し、

    それはすべての不調和(病気)を除去する。ハタの浄化法の最高のものがナウリである」

     

    ゲーランダ・サムヒター(1-52)

    अमन्दवेगं तुन्दञ्च प्रामयेदुभपार्श्वयोः।
    सर्वरोगान्निहन्तीह देहानलविवर्धनम्॥४२॥
    amandavega tundañca prāmayedubhapārśvayoḥ|
    sarvarogānnihantīha dehānalavivardhanam||52||

     

    「腹部を隆起し、左右に揺り動かすことは、

    すべての病気を除去し、体内の火を増す」

     

    ナウリは、このように体内の消化力を高め、食べ物をしっかり栄養素に異化し、体内組織やエネルギーに変換するために有効とされています。これはアーマ(未消化物)が体内に蓄積するのを防ぎ、気道が浄化され、エネルギーの流れをよくすることにつながります。

     

    ですが、これらの浄化法は、ハタ・ヨーガにおいては、ラージャ・ヨーガ(サマーディ)やラヤ(至高の存在)との融合へのツールであるということです。それ自体が目的ではないということです。

     

    浄化法はアーサナ、プラーナーヤーマ、瞑想の実践をより効果的にします。

     

    以下の場合には実践しない方がよいとされます。

     

    妊娠中の女性、ヘルニア、高血圧、心臓病、潰瘍、胃腸病を患っている人、腹部の術後の人など。

    実践に際しては、必ず熟練した専門家の指導を受ける必要があります。痛みや痙攣を生み出さないようにすべきですし、 常に慎重に練習した方がいいでしょう。


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