ビヨンド・オブ・マインド瞑想 ヨーガというのは、もともと、瞑想の深い境地を表す言葉でした

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    現在はヨーガは体操やポーズを指していますが、ヨーガは古代インドにおいては、深い瞑想の境地を意味していました。
    (ちまたではヨガと表記されていますが正しくはヨーガです)

     

    それはサマーディとよばれる瞑想の境地です。サマーディとは静寂の意識です。それは、精神活動がストップし、意識的活動や思考活動がない状態です。それはニローダと呼ばれます。ニローダとは停止(静止)という意味です。

     

    脳幹や大脳御辺縁系などの生命維持に欠かせない機能を持つ部分は働いており、大脳皮質や間脳が休んでいる状態と考えられますが、睡眠のように意識が失われれいるわけではありません。

     

     

    ウパニシャドの時代には、ヨーガはアートマン(真我)と結びつくことを指していました。そのために、瞑想が実践されていました。精神活動が停止したときに、人は真我と結びつくのです。

     

    最近の研究では、瞑想により、老化と関係する染色体の部分のテロメアの短縮が遅くなるとか、記憶・情報を整理する部分の脳が瞑想中に活性化されるとか、ストレスにより小さくなったり減ったりした脳の神経細胞の樹状突起が修復されたりといったことも発表されています。

     

    マインドフルネス(Mindfullness)という瞑想がアメリカで盛んなり、日本にも広がってきています。マインドフルネスとは、仏教の瞑想法から、宗教的要素を除き、方式化した方法であり、状態です。マインドフルネスという言葉の文字上の意味は「細心の注意を払うこと」です。

     

    ヨーガの純粋な形の瞑想は、ビヨンド・オブ・マインド(beyond of mind)です。心を超えるということです。意識の向け方ではなく、心や精神の活動を超えるというわけです。前述のニローダ、精神活動の停止状態に向かうそのステップを瞑想と呼んでいます。

    両者の瞑想法は入り口と途中までの段階は共通していると思われますが、根本的には、背景にある哲学的考え方が異なっています。
    人間の経験は三つの要素からなります。認識する側の意識それ自体、認識するという活動やプロセス、認識される対象です。それらが経験を生み出します。

     

    花があるとします。まず認識主体である人の意識があり、それが目をとおして花に向かいます。そして、目から視覚中枢に入ってきた花の情報を花として理解認識します。何かを認識するときにはこの三つの要素が必要です。認識者の意識、認識作用、認識対象です。

     

     

     

    ヨーガの瞑想においては、目を閉じ外部刺激を遮断します。五感刺激の80%ほどが目から入る視覚情報ですから、目を閉じることで脳への刺激が減り、心は静まります。そして、意識は内面に向かいます。例えば呼吸、心臓の鼓動、体の感覚、内臓の動き、雑念、記憶、感情などに意識が向かうのです。認識者の意識の対象は五感の対象から、内面の精神や肉体の動きに代わるのです。

     

    意図的に呼吸に意識を向けると、呼吸がゆったりしてくることに気が付きます。脳の活動が減少するため、エネルギー消費が少なくなるからです。静かな呼吸に意識が向かうことで、心もさらに静まります。このことが継続して起こっていきます。

     

    さらに努力のない、緊張しない心の在り方でいることができれば、そのうちに思考か停止します。それがサマーディです。正確に言えば、アサンジニャータ・サマーディ、つまり認識の対象を伴わないサマーディということです。そこが真我の最初の体験となります。

     

    ヨーガの瞑想を継続して長年、毎日実践していくとこの状態がより頻繁に経験されていきます。浅い海であれば、波立つ海が静まり、静かになると、海底が見えてくるように、心が静まると心の基底状態が認識されるのです。

     

    あるがままというのは、瞑想の基本的で、共通する原理だと思われますが、変化する意識の対象をあるがまま注意を向ける続けること、精神活動を死滅し、真我を得るということでには大きさな差があります。

     

    ヨーガ哲学が目指しているのは、単に脳を休め、リラックスするということではなく、その経験により心身を浄化し、サマーディを得ることです。さらにその先にあるのが、サマーディのなかで結びついた真我が本来の自分の意識であることを悟ることであり、それをカイヴァリャといいます。変化する意識と不変の真我を識別し、真我に確立された意識です。

     

    不変精神(purudsha)の上に非具象体(avyakta)から展開した変化する精神(citta/prakrti)がのっかている、あるいは不変の真我が変化する精神として展開しているというのがヨーガの一つの考え方です。ヨーガの背景にある論理であるサーンキャ哲学には、古典的な二元論と一元論のふたつがあるようですが、いずれにしても変化する精神や肉体の背景には、変化しない純粋な精神があると考えられています。

     

    仏教においては一般的に言って、そのような考え方はなく、逆に不変意識というものは実体がない(sva-bhava shunyam)=空であるといいます。そのような精神は存在しないということです。意識は常に変化する連続体ということでしょう。

     

    不変性と変化する世界の二元論(あるいは不変性のみが真実であるという一元論)、そして、変化する世界のみが存在するという考え方。どれが正しいということではなく、この世界の見方の立ち位置の違いに思われます。

     

    ヨーガの瞑想はビヨンド・オブ・マインド、精神を超えたところの不変性、あるいは普遍性を得るプロセスなのです。ヨーガの瞑想はいたってシンプルです。


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      • 2019.07.18 Thursday
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