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    日本へのヨーガの伝来

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      古代インドにおいては、ヨーガは心の奥底の”真我(アートマン)”と結びつくことを意味していました。そのために、座して瞑想したのです。座すことは”アーサナ(aasana)”と呼ばれ、瞑想は”デャーナ(dhyaana)”または”タルカ(tarka)”と呼ばれました。

      目を閉じ、外界から感覚器官に入ってくる感覚刺激を遮断し、注意を心の内側に向けました。そして、心の最も精妙な深い意識を経験しました。精神活動は死滅し、無想三昧と呼ばれる境地を得たのです。

      [カタウパニシャッド]
      「5つの認識器官が心とともに、(外に向かう活動から)静止するとき、
      知力(buddhi)もまた働かないときに、それを人々は最高の状態と呼ぶ」
      yadaa pa̱~nca avatiSThante j~naanaaNi manasaa saha | 
      buddhishca na vicoSTati taaM aahuH para̱maaM gatim ||

      [バガヴァッドギーター]
      「内面に引き戻すとき、亀が頭や手をすべて収めるように、
      その者の感覚器官の対象から感覚を収めるとき、叡智が確立される」
      yadaa saMharate caayaM kuurmo'.ngaaniivaa sarvashaH |
      indriyaaNiindriyaarthebhyas tasya praj~naa pratiSthitaa || 

      座して瞑想することがヨーガであったわけです。真我との結びつきがヨーガであり、座すことや瞑想がそのための行法です。ところが現在では、一般的に、ヨーガは身体を曲げ伸ばしする体操法となっています。

      一方では精神的な実践とその境地、他方は肉体的実践をヨーガと呼んでいるのです。時代が変わると同じものも変化していきます。

      ウパニシャッドの時代には、ヨーガの6部門、その後のヨーガスートラにはヨーガの8部門が説かれています。それらには精神的実践と肉体的実践が両方とも含まれていまます。その後、精神的実践はラージャヨーガ、肉体的実践はハタヨーガと呼ばれるようになりました。

      ウパニシャッドの時代に重なる、仏教においても、座して呼吸法や内観などを伴う瞑想としてヨーガが取り入れられていました。

      ヨーガの日本伝来について調べてみると、ヨーガは漢字音写され瑜伽(ゆが)と呼ばれたり、相応(そうおう)と呼ばれ、中国経由で形を変えて伝わってきています。しかし当初は座して瞑想することがヨーガの行法でした。

      538年の仏教公式伝来の際には、仏教の修行法としてヨーガが伝えられたようです(修行法の内容は不明)。8世紀、南インド出身の仏僧ボーディ・セーナ(東大寺の開眼供養の導師として有名)が、インド直伝のヨーガを日本にもたらしました。

      7〜9世紀においては、鑑真和尚や空海が仏教ヨーガを実践していたことが知られています。特に空海は真言密教(ヨーガ・タントラ)を伝え、マントラを使用したヨーガ瞑想が伝わりました。

      仏教の行法とは別にヨーガとして、ハタヨーガや呼吸法が広がっていくのは、明治後期から昭和になってからのようです。中でも中村天風氏がインド系のヨーガを日本に導きいれたことは知られています。また、佐保田鶴治氏は、昭和48年にヨーガ道場を開設し、普及させました。

      前述のとおり、日本においては仏教伝来の際、座して瞑想をするという行法がヨーガとして伝えられました。ですが、近年においては、ポーズをとるアーサナが”ヨガ”として伝えられ、広がっているのが現状です。
       
      しかし、1970年代ごろからは、むしろ、ヨーガの瞑想や知識を中心と運動がインドから生まれ、欧米に広がっていきました。それが日本にも伝わり、1980年ごろからヨーガの瞑想も少しずつ広がり、1990年ごろから、経営者層にも瞑想を実践する人々が増えてきました。

      肉体の鍛錬を中心とするハタヨーガ、精神の開発をするラージャヨーガ、これらは相互補完的で、決して対立するものではありません。ハタヨーガはラージャヨーガのための重要な土台になるものであり、ラージャヨーガはヨーガのゴールを達成するのに欠かせない実践となります。

      ヨーギー(ヨーガ行者)スヴァートマラーマ(svaatmaraama)の『ハタヨーガ・プラディーピカー』には以下のとおり書かれています。

      「ラージャ・ヨーガを知らず、ただハタを行ずる者たちを、
      私の見解では、努力の効果を奪われた者たちであると言う」
      raaja-yogamajaanantaH kevalaM haThaa-karmi.naH |
      etānabhyāsino manye prayāsa-phala-varjitān || 

      「すべてのハタとラヤの方法はラージャ・ヨーガの完成のためにある。
      ラージャ・ヨーガに熟達した人は死を逃れる」
      sarve haTha-laayopaayaa raajayogasya siddhaye |
      raaja-yoga-samaaruuḍhaaH puruSaH kaala-va~ncakaH ||

      関連記事

      「用賀」の名前はヨーガに由来


      ※参考図書
      『仏教とヨーガ』(保坂俊司著・東京書籍刊)
      『ヨーガとサーンキャの思想』(中村元著・春秋社刊)
      『ハタヨーガ・プラディーピカー』(佐保田鶴治著・春秋社)

      ヴェーダセンター

      JUGEMテーマ:ヨーガ哲学講座

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